クラシック大好き男に「どの作曲家が好き?」と訊ねられたとき、女はどう答えたらいいの?

元ネタはインド料理大好き男に「どこの店が好き?」と訊ねられたとき、女はどう答えたらいいの?で、他にもラノベ版とか任天堂版とかバンド版などがあります。



あ、まず前提として、

貴女がクラシック大好き男を夢中にさせることが、

はたして貴女を幸福にするかどうか、それはまた別問題だけれど。

とはいえ、クラシック大好き男たちは玉石混交ながら、

IT系の超かしこい男なども多く、

したがって、釣り師たる女たちにとっては、

なかなかあなどれない釣り場です。



では、クラシック大好き男に「どこの作曲家が好き?」と訊ねられたとき、

貴女は、どう答えれば理想的でしょう?

まず最初に、その男がベートーヴェンのようなタイプの交響曲

あとは弦楽四重奏曲、そして(プロを目指すほどではないけれども)何か楽器を弾くのが大好きな、

そんなタイプの場合は、

貴女はかれの目を見て、微笑みとともに質問など無視して、こう言いましょう、

「わたしが、一緒にコンサートに行ってあげる♪」

これこそまさに必殺の答えです。

そこでクラシック大好き男が、えへへ、とやにさがったならば、

貴女は、ひそかに、岡田先生の『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏』あたりを

ひそかに読んでおきましょう。これで成功まちがいなしです。



しかし、ここでは、もう少しハイブロウな(?)いわゆるクラシック好きの男の

落とし方をお伝えしましょう。

この場合、貴女は、こう答えましょう、

「わたしは、ドビュッシーが好き。

ピアノ曲をよく聴くの、『子供の領分』はいつ聴いてもいいし、

交響詩『海』も、大好き♪」

もしも貴女がそう答えたならば、

その瞬間、クラシック大好き男の目はきらりと輝き、

かれの貴女への恋心は、

20%増量になるでしょう。



なぜって、ドビュッシーは、

ちょっぴりお洒落な小曲を多く書き、

音楽史の中でも比較的評価が高く、

一般的な和声法からはずれていながらも、そこがまた

ちょっぴりパリの何気ない日常みたいなふんいきをかもしだしていて。

しかもドビュッシーがCMでふるまっている楽曲は、

日本のBGM業界のスタンダードを、

質高くふるまっていて、なおかつ、

調性音楽の崩壊に一役買った功績もあって。

したがってドビュッシーこそは、

本来なんの接点もないまったく縁もゆかりもない別々の世界に生きている、

岸本セシル似の綺麗系OLと、玉もあれば石も混じっている、そんなクラシック大好き男たちが、

この世界で唯一(いいえ、ラヴェル、リストと並んで唯三)遭遇しうる場所です。





では、参考までに、危険な回答を挙げておきましょう。

クラシック大好き男に「どこの作曲家が好き?」と訊ねられたとき、

貴女がこう答えたとしましょう、

モーツァルトが好き♪ 週3回は、アイネ・クライネ・ナハトムジークを聴くの。」

その瞬間、クラシック大好き男の貴女への恋心は消えます、

なるほどモーツァルトは、稀代の天才作曲家、

曲の展開の仕方など多くが非凡ながら、ま、常人には書けない曲ばかりなものの

しかし、「彼のアダージョを聴けばリラックス!」とかなんとかイージーリスニングなる意味不明な宣伝文句に使われ

クラシックについての謬見を撒き散らした罪が(現代人に)ありますから、クラシック大好き男にとっては天敵なんです。



またもしもたとえあなたがクラシックの曲が大好きで、

「わたし、ワーグナーが好き、タンホイザーもいいけど、

最高に好きなのは『ニーベルングの指環』♪ ワルキューレの騎行も、ジークフリートの葬送行進曲もすっごくいい。」

と、答えたとしたらどうでしょう?

なるほど、貴女の趣味は高く、

たしかにワーグナーの楽劇は、別に chickではないものの、

曲も脚本も最高に興奮するんですけれど、

しかし、貴女の答えを聞いて、クラシック大好き男はきっとおもうでしょう、

(なんだよ、お高くとまったワグネリアンだな、カネかかりそう)って。



貴女が、クラシック楽曲が大好きで、作曲家の名を挙げるにしても、

たとえば、チャイコフスキーならば安心でしょう、

なぜならば、チャイコフスキーは、ふつうのOLにもマニアにもともに愛されるめずらしい作曲家で、

貴女がその名前を挙げても必ずしも、あなたがクラおた宣言をしているとは受け取られないでしょう。

しかし、たとえば、ウィーンっ子が誇る歌曲の大家、シューベルトにせよ、

気難しく正統的でありながらも、時に美しく、時に情に訴えかけるような曲を書いたブラームスにせよ、

若いながらすばらしいメロディーを次々書いたメンデルスゾーンにせよ、

コンパクトな交響曲弦楽四重奏曲が素敵なハイドンにせよ、

さまざまな情景が目に浮かぶような曲を書いたリムスキー・コルサコフにせよ、

北欧の自然の優美さと厳しさを思わせるような曲を書いたシベリウスにせよ、

そういう作曲家の名前をいきなり挙げるのは、ちょっぴり微妙。

ましてや貴女が、「バルトークが好き♪ わたし、彼の楽曲はもうほとんど全部、聴いちゃった♪」

と答えたならば、どうでしょう?

これはかなり博打な答え方で、

なるほど、バルトークは、民族音楽と現代音楽の融和を試み、ベートーヴェン以後最大の弦楽四重奏作曲家と謳われる超絶名作曲家ゆえ、

あなたがそう答えた瞬間、クラシック大好き男がいきなり超笑顔になって、

鼻の下がだら〜んと伸びちゃう可能性もあるにはありますが、

しかし、逆に、(なんだよ、この女、クラシックおたくかよ)とおもわれて、どん引きされる可能性もまた大です、

なぜって、必ずしもクラシック大好き男がクラシック大好き女を好きになるとは、限らないですから。

しかも、この答えには、もうひとつ問題があって、

男たちは、女を導き高みへ引き上げてあげることが大好きゆえ、

もしも貴女が、「バルトークの曲が大好き♪」なんて言ってしまうと、

そこにはもはや、男が貴女をクラシック教育する余地がまったく残されていません、

したがって貴女のその答えは、

クラシック大好き男の貴女への夢を潰してしまうことに他なりません。



ま、ざっとそんな感じです、貴女の目には男たちはバカでスケベで鈍感に見えるでしょうが、

しかし、ああ見せて、男は男で繊細で、傷つきやすく、女に夢を持っています、

貴女の答え方ひとつで、男の貴女への夢は大きくふくらみもすれば、

一瞬で、しぼんでしまいもするでしょう。



では、スキットを繰り返しましょう。



「わたしは、ドビュッシーが好き♪

ピアノ曲をよく聴くの、『子供の領分』はいつ聴いてもいいし、

交響詩『海』も、大好き♪」

そして、その瞬間、カレー大好き男の目がらんらんと輝いたなら、

貴女はこう重ねましょう、

「それからね、いま、わたしが聴いてみたい曲は、

マーラー交響曲、素敵な曲って噂を聞いたから。

あなたのお暇なときがあったら、わたしをマーラー交響曲をやってるコンサートへ連れてって♪」

これでもう完璧です。



そうなったらこっちのもの、

デートの日には、前もって総譜を読んでおき、

ジルスチュアートの可愛いワンピではなくちょっとフォーマルなを着てゆきましょう。

その日から、クラシック大好き男は貴女の虜になるでしょう。

では、釣り師としての貴女の、愛の幸運と幸福をお祈りします!